ハンドルミシン刺繍の偉大なる資料
ボニー・ウィリアムズがルース・フランクリンから習ったノウハウを生徒へレクチャーしているVHSテープがあります。この動画資料がYouTubeにアップされています。3本に分けられてアップされています。まずは1本目のVol.1です。
ステップ毎に番号が振ってあるんやな。


そうなんだよ、教則目的のビデオだね。

Ruth Franklin's Artictic Tough
この復刻作業と運営は Stitch-Rite Embroidery Serviceが監修していて、資料は無料で公開しています。まずはこのような資料を公開してくれてとても感謝しています。
この動画から学べることはとても多いです。ハンドルミシン刺繍に携わる、これから本格的にやってみようと思う方は必聴の動画ではないでしょうか。僕も習う先生も習う場所も聞ける人もいなかったので、この動画でずっと観て学びました。
ただ観てもらうと分かりますが、全て英語です。YouTubeの自動翻訳などで分かる箇所も多いとは思いますが、英語アレルギーの方はまず観れないかもしれません。
ですが、当初のハンドルミシン刺繍の魅力を伝えるために、またやってみようと思った方向けにこのルース・フランクリンのビデオを可能な限り翻訳してみようと思います。というのもこれ以上にハンドルミシン刺繍のスタートに適した資料は存在しないと断言できるからです。加えて細部まで見返すことでまた学ぶことも多いのと思うからです。
ルース・フランクリンの動画の構成について
Step1から53までのPDF資料とそれに合わせた動画になっています。資料がなくても動画だけでなんとなく理解できるステップもありますが、資料と照らし合わせながら学ぶと良いと思います。
まず序章として、このように書かれています。翻訳は少し砕けた表現に変えています。
このビデオでは、ただ名前を書く方法を教えるだけじゃなくて、「刺繍アーティスト」になる方法を教えます! 伝える情報が正確で役立つものになるように、特別に気を配っています。もし機械にダメージが出たとか、説明を忘れたとかで連絡を受けたくないですからね。あと、中途半端に説明して途中で別の話に移っちゃうのも避けたいと思っています。 ナレーションを聞いて「これ、台本読んでるな」って感じるかもしれません。その通り!ちゃんと正確に伝えるために台本を読んでます。
このビデオには特別な工夫があるんです!
各ステップを始める前に、画面に番号が表示されます。その番号は、この台本の該当するステップの番号と一致しているので、見直したいときはその番号を目安に早送りや巻き戻しができます。
ビデオは3つの段階に分けて進めていきます。これによって、あなたとLeahが学んだことを練習する時間を確保できます。
最初のセクションでは、これまでお伝えしたことに加えて、機械に向かって座るときの姿勢についてもお話しします。あなた自身が機械の一部になる感覚が大事なので、これは重要なポイントです。
次に、あなたとLeahに、足元に2枚のタイプ用紙を置いて、足を下ろし、ペダルやハンドルの操作に慣れる練習をしてもらいます。
機械がどう動くべきか、そしてその仕組みについても説明します。「ノーズ」と「ハンドル」の関係性と、それぞれの役割もお話ししますよ。
時々、LeahやClayが質問をしてくれます。それがきっと役に立つと思います。あなたがその場にいたらきっと聞きたかったことを代わりに聞いてくれるからです。もし彼らが質問し忘れたことで聞きたいことがあれば、書き留めて後で私に聞いてくださいね。
Leahは紙の上に沿って練習します。あなたも同じことをやってみてください。もしかしたら彼女が自分の名前を書こうとするかも…どうなるでしょうね!
ではステップ1から順にどんな内容なのかを紐解いていきます。なお必要な道具は揃っている前提で進められているので、針棒がなかったり針がなかったり、押さえ(ゴム押さえ、シニール用の押さえ)がなかったりすると進められないので、まずは最低限必要な道具は揃えておきましょう。
ステップ1の内容
ステップ1:ミシンがちゃんと動くか確認しましょう!
Step1:Making sure the machine is working right.
下の動画はステップ1から始まるようになっています。
※また動画は英語です。適宜字幕を出して翻訳機能を使えばそれほど難解ではないとは思います。
まずは、「ボナズ」ミシンがしっかり動く状態になっているか確認します。いくつかの部品を取り外しますが…心配しないでくださいね!ちゃんと元に戻す方法も教えますから。
マシンの部品がどこにあるか確認するために、4ページの機械図を参考にしてください。
4ページの機械図はこちらです。
名称は大事やな、英語で通じるものそうでないものあるしな。


独特な名称もあるね。僕が分かりやすいように翻訳した名称もあるよ。

重要な名称
どれも刺繍をしていく上で大事な名称ですが、針棒の後ろのスプリングネジ(内部にあり)が押さえの強さを調節するネジ、手前のスプリングネジ(こちらも内部にあり)がニップルの押さえの強さを調節するネジ、です。このネジでそれぞれ強弱を調整します。刺繍する対象の製品(厚物、薄物)によって調整します。
針棒についてはチェーンステッチの輪っかの大きさを調節します。この針棒は奥が深くて、ほんのコンマ数ミリでもかなり変わります。
糸目の大きさ調節ネジはチェーンの輪っかの長さを調節します。
針棒の高さで輪っかの大きさを、糸目の大きさ調整ネジでチェーンの輪っかの長さをそれぞれ調節します。この組み合わせでかなりの表情を作り上げていくことができます。
どのように組み合わせるとどのような糸目が作れるのかというバリエーションをたくさん知っていることが大事だと思います。
あとはベロとしていますが、ここは上下に擦れる箇所なので、オイルアップをしないと調子が悪くなります。適宜オイルを挿しておいた方が良いですね。
ハンドルミシンの調整に慣れること
厚い生地であれば押さえの力は強めにしないと、生地を送ることができにくいですし、生地が厚ければ針も太めの針を使用することになると思います。
また薄い生地であれば押さえの力は厚い生地よりも相対的には弱くします。厚い生地用の押さえの力で薄い生地を押さえると、生地にシワが寄ったりしてしまい、うまく生地を送ることができません。
太い針で薄い生地を縫えないことはありませんが、生地に大きな針穴が開きますので、通常は薄い生地に適した細めの針を使うことになると思います。
試行錯誤の経験値をたくさん積むこと
このように何をどう縫うのか、対象の生地にはどのようなセッティングが良いのかは、経験値がとても大事です。厚い生地のセッティング、薄い生地のセッティング、広い面積もしくは狭い場所を刺繍する場合のセッティングなどは実際に刺繍してみて試行錯誤していく他ありません。
ただその試行錯誤が多ければ多いほど、結果的に表現の幅は広がっていきますし、作品のクオリティも比例して向上していくのではないかと思います。
ステップ1はこのような内容かと思います。
今後もステップごとにブログ記事を書いていきたいと思います。
この記事を書いた人

渡邉 太地(Taichi Watanabe)